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――そして今
***
「――あの子たち、今はどこにいるだろうねえ」
利明は懐かしい記憶に、頬を緩めて独り言ちた。
実は、今年に入って会ったばかりなので、また当分は訪れないだろう。
晴道は貫禄が上乗せされていたし、玉瀬もぐっと頼もしくなっていた。
「私も精進を続けなくては」
自分とは違う生き方で歩む友を、これからも応援するために。
そっと胸に誓ったところで、若い神職から声がかかった。
「宮司、お客人がお見えです」
言われて視線を先に向ければ、鳥居の近くに若い娘が立っていた。少し離れた町に住む彼女との繋がりは、最近訪れた晴道らの置き土産――つまり、不思議が絡む縁だった。
「おや、いらしたか」
利明は、微笑みを浮かべて迎えにいくのだった。
【完】
ご覧いただき、ありがとうございますm(_ _)m
いつもと趣向を変えまして、第三者の目で玉瀬たちを追ってみました。
今回視点を借りた利明の、本編では描く機会のない日常や内面にも触れることができ、書いていて楽しかったです。
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