――そして今

1/1
前へ
/20ページ
次へ

――そして今

*** 「――あの子たち、今はどこにいるだろうねえ」  利明は懐かしい記憶に、頬を緩めて独り言ちた。  実は、今年に入って会ったばかりなので、また当分は訪れないだろう。  晴道は貫禄が上乗せされていたし、玉瀬もぐっと頼もしくなっていた。 「私も精進を続けなくては」  自分とは違う生き方で歩む友を、これからも応援するために。  そっと胸に誓ったところで、若い神職から声がかかった。 「宮司、お客人がお見えです」  言われて視線を先に向ければ、鳥居の近くに若い娘が立っていた。少し離れた町に住む彼女との繋がりは、最近訪れた晴道らの置き土産――つまり、不思議が絡む縁だった。 「おや、いらしたか」  利明は、微笑みを浮かべて迎えにいくのだった。 【完】 ご覧いただき、ありがとうございますm(_ _)m いつもと趣向を変えまして、第三者の目で玉瀬たちを追ってみました。 今回視点を借りた利明の、本編では描く機会のない日常や内面にも触れることができ、書いていて楽しかったです。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加