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遭遇(二)
まだ遠目ではあるものの、辛うじて人形に見える全身は真っ白で細長く、大人でも見上げなければならないほどの背丈があった。
冷静に思案できたのは、利明が陰陽師の血筋であるからだ。神に奉仕するとともに、怪異を鎮める術をもった彼のもとには、時折、祓いなどの依頼も寄せられる。
しかし、今、向かってきている某かは、どうにも気性が荒そうだ。戦うことは得手ではないから、できればやり過ごしたい。
やはり今からでも踵を返すべきだ。見通しの良い道はしばらく続くが、全力で走ればどこかで撒けるだろう。
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