ある神社にて

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ある神社にて

「おや、今年もきれいだ」  戦国の世に(たくま)しく在る音輪(おとわ)神社は、この日も至極穏やかであった。  境内に出ていた白津(しらつ)利明(としあき)宮司は、蒲公英(たんぽぽ)がちらほら咲き始めていることに気づいて足を止める。 (そういえば、彼らと初めて会ったのも、このくらいの季節だったなあ)  ふと(よぎ)ったのは、親交のある旅人たちの顔だった。
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