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「私、灰原さんが悩み聞いてほしいって言うから急いできたんですけど。灰原さんが私を頼るなんてよっぽどのことなんだろう、って」
「うん、よっぽどのことよ?合コンの人数足りなくて本当に困ってたの!」
「……」
悪びれる様子もなく、両手を顔の横で合わせて「ごめんね?」と首を傾げる灰原さん。尊敬してやまない彼女に殺意を覚えるなんて……きっと後にも先にも今回だけだ。
碧央くん。あなたの言うとおり、私の周りの押しが強いお姉さま方は信じてはいけない人たちだったようです。
「もう〜、合コンなら私、帰ります!」
「ちょ、待って待って、久米ちゃん!後でハーゲンダッツ奢るから!」
「サーティーワン派です!」
「ああ〜!サーティーワンも奢るから!ちょっと話聞いて!」
逃げる側の私も必死だが、捕まえる側の灰原さんも必死の形相。
私を騙したとはいえ、一応尊敬する先輩だ。話を聞かないわけにもいかない。
ムムム、と顰めっ面のまま「なんですか?」と口を尖らせれば、「男性メンバー、ちゃんと見た?」と小声で言いながらチラリと黒目を右に寄せる。
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