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「来年も会えるかな」  それは、彼が最後に見せた下心だったと思う。僕は笑った。笑うしかなかった。頭を掻いて俯いた。答えられなかった。花火はほとんど見られなかった。ずっと下を向いていたから。  女の子の服を着るのは辞めなかった。ただ、もう話し掛けられても一緒に歩かないようにしようと決めた。川開き祭りにはあれから行かなくなった。あの男の子は今何をしているのだろうかと、夏が来るたびに考える。普通に女の子と付き合って一緒に川開き祭りに行ったりしてるんだろうか。僕はあの日から何も変わっていないのだけれど。
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