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「ゴウさんこれの値段にびっくりしてたから、プレゼントできたらいいなって」
「俺も高いなって思ってたけど、ハカリ君がプレゼントなら買えるって言ってたじゃん?確かにそのとおりだなあって。で、俺の気に入ったものならお勧めできるなって」
「それでくれたんだ」
「んだよ」
「なるほど」とハカリ君は笑った。
「お揃いですね、結果的に」
「どっちかだけ持ってるよりもお揃いの方がいいね。ハカリ君に貰えて良かった」
ハカリ君はスマートフォンのカバーに空いたストラップホールにクジラのストラップを引っ掛けていた。緩んだ口元をごまかすように口を抑えてから「なんかほんと、いろいろありがとうございます」と言った。俺は「いいよ」と答えた。石巻の旧市内を抜けたタクシーは左右を田んぼに挟まれた真っ直ぐな道を走る。同じ石巻市内ではあるが、匂いも風も風景も、海辺とはかけ離れている。
「今度どこ行こうか。気仙沼とかいいかな。ホヤぼーやに会いたい。この時期なら南三陸でウニ丼食えるんだっけ。県南とかどう?北限のシラスどこだっけ、名取?」
「海好きですね」
「好きだよ。ハカリ君も好きでしょ」
「まあ、はい」
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