椎名くんは騙されない

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「くそっ! 俺もゾンビでいいから生き返りてえ!」  小野田くん、椎名くんに続いて自力復活。もう訳がわかんない。  整理しよう。  今この場にいるプレーヤーは、市民が二人、人狼が一人、ゾンビが二人。  ゾンビはただ雑談に加わるだけらしい。  いる? その役職。 「ゾンビの言い分としては、沢田が怪しいな! あのおどおどした態度。間違いなくあいつが人狼だな」 「それ、さっき俺が言ったし。何で被せてくんの? なんか発言するなら新しい情報上乗せしてくんねーと、時間なくなるだろ」 『制限時間、残り一分』   「ほら見ろ」 「じゃあ、新情報を加える。沢田は、佐藤さんにかばってもらって死ぬほど嬉しがっているけど、言葉にできない不器用さを持っている!」 「それも見れば分かるけど」 「えーと、じゃあさらに新情報。沢田の今日のパンツは青のトランクス」 「何でそんなこと知ってんだよ。キモッ」  このゾンビども、マジでいらない。  ゾンビどもが足を引っ張り合っているうちに制限時間が終了した。 『追放する人を一人選んでください』  ここで市民を追放してしまったら人狼の勝ち。  人狼を追放すれば市民の勝ち。  さあ、勝つのは誰だ⁉︎ 『追放された人が決まりました』    沢田くんと佐藤さんの投票は──私に入れられていた。 「ええええええっ⁉︎」  私が追放された? そして──。 『勝者は人狼です』 「うふふ」  笑ったのは、佐藤さんだった。
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