椎名くんは気にしない

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「なんかキミ、嘘くさいなあ。今の本当? そっちの子にも確認するよ?」 「マジっす。な、藤川!」 「えっ。うーん」 「ほら、なんか微妙な声だし、嘘でしょ?」 「告白まだなんで。でも今日これから告白するところだったんで。好きだ藤川! おれと付き合ってくれー!」  お前、5%オフのために魂売ってんな。  そう思ったけど、悪い気はしない。 「どうするのお嬢ちゃん。告白OKするの?」 「ああ、はい。じゃあ一応」 「やったー! 5%オフゲット!」  そこは告白OKされてやったー! なところだろ椎名くん。バレるぞ椎名くん。  まあ、私も5%オフになるわけだから、下手につっこんだりはしないが。 「ありがとうございましたー」  お互いに前髪を少し切って、少しマシな髪型にセットされて、ほぼ同時に会計を済ませて美容院を出た私たちは、お互いに顔を見合って共犯者のように黒い笑みを浮かべた。 「ラッキーだったな、藤川。おれに感謝しろよ」 「うん。なんかお店に悪いことしちゃったけどね」 「仕方ない。おれの前で悪魔の数字5%オフを掲げたのはあちらの落ち度だ」  店中に響く声で「好きだ!」と叫ぶ恥の方が私は勝つけどな。  椎名くんは全く気にしていないから、逆に清々しい。 「じゃあまた明日」 「うん、学校で」  私たちは片手を上げて店の前でバイバイした。  まだ帰る気分じゃないな。  さて、次はどこへ行こう。
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