6人が本棚に入れています
本棚に追加
/113ページ
それに、今年の春からは高校生になって、毎日忙しくも楽しいんだ。部活とか行事とか……ちょっと苦手だけど、勉強も頑張ってる。寂しがってる暇なんてないぐらい、充実した毎日なんだ。
そんなことを考えながら、いつもの通学路を、柊と並んで歩く。商店街を過ぎて、学校前の道に差し掛かった時、柊がふと口を開いた。
「あ、そういえば今日、期末テストの返却日だよね」
「あっ!?そ、そういえば……」
期末テスト、返ってくるのか……。うう、憂うつだなぁ。数学、全然ダメだったんだよな…………。
「ふふっ、聖夜、顔色悪いよ?これは今回も私の勝ちかなぁ」
「うっ……ま、まだ分かんないだろ!国語と家庭科は自信あるし!」
「ふぅん……大丈夫かなぁ」
「だっ、大丈夫だ!…………多分」
「多分ねぇ……ふふっ。部活もいいけど、勉強も頑張らなきゃダメだよ?」
「うぅ…………。はい、頑張ります……」
「あははっ!よろしい。じゃあ私、挨拶運動の準備急ぐから、先行ってるね」
柊はそう言って、俺の肩をポンと叩いて走っていってしまった。
「期末テスト…………はぁ」
思わずため息が出てしまう俺。うぅ、点数悪いって分かってるのに、何で受け取らなきゃいけないんだ……。
「……って、そんなこと考えてる場合じゃないよな。朝練朝練!」
俺はなんとか気持ちを切り替えて、『天ヶ原学園』と書かれたプレートがはめられた、レンガ造りの校門から、部室へと急いだ。
最初のコメントを投稿しよう!