13 妹の気持ち[side 柊]

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13 妹の気持ち[side 柊]

 洗面所で手を洗った後、私は自分の部屋に向かった。そして、部屋に入るなりベッドにボフッと倒れ込む。 「はぁ…………」  聖夜の背中、押しちゃった。 「…………聖夜、付き合っちゃうのかな」  応援するって決めたけど、やっぱりちょっと寂しい。でも、この気持ちを知られるのは嫌だった。だって、もし私が寂しがってるって気づいたら、聖夜はきっと遠慮しちゃう。私のせいで聖夜が幸せになれないのは、嫌。 「応援するって決めたんだから……こんなこと考えたって仕方ないじゃん」  枕に顔を押し付けて、目を閉じる。  すると、瞼の裏に浮かんできたのは、昼間の聖夜と旭さん。  ほんと、仲良さそうだったな……。  初めて旭さんを見た時は、聖夜が弄ばれてたりしないか心配だったけど、そんなの私の思い込みだった。  今日話して分かったんだ。旭さんは、優しい人。自分を傷つけてしまうぐらい、周りのことを考えている人だって。  そして、旭さんもまた、聖夜のことを大事に思ってる。聖夜が旭さんを笑顔にできるように、旭さんも聖夜を笑顔にできる人だ。旭さんなら、聖夜を幸せにできる……そう思う。
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