14 大事な初恋の人へ[side 燕]

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14 大事な初恋の人へ[side 燕]

 初めて聖夜さんに会ったのは、私とお兄ちゃんが天ヶ原町で下宿を初めて、しばらくしてから。今年の春のことだった。  お父さんとお母さんが出逢った天ヶ原学園に、お兄ちゃんと一緒に通える……そう思って、浮ついてた私。もしかしたら、お母さん達のように運命の人に逢えたりするかも!なんて思って、毎日ワクワクしてたんだ。  だけど、その期待が無になってしまうほど、辛いことが起きる。 「燕さんって、ちょっと怖いよね……」 「分かる~。目がキッてしてて、睨まれてる感じしちゃう」  入学式からしばらく経っても友達が出来なくて、寧ろ周りから距離を置かれてしまった私。毎日辛くて……帰り道はいつも涙を堪えてた。  誰かと仲良くなりたい。1人は嫌だ。ずっと、そう思ってた。きっと私は寂しかったんだと思う。  だから、あの時……あの子達の仲間に入りたくて、無茶してしまったんだ。
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