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きっと、準備運動もしないで急に飛び込んだからだ。あの子達と仲良くなりたくて、助ければ仲間に入れてくれるかもって、邪な考えで行動したからだ。
だから、バチが当たったんだ…………。
「お姉ちゃん!」
女の子の悲鳴が聞こえる。
あー、私このまま溺れちゃうんだ。もう、ダメなんだ。
……死んじゃう前に、誰かと友達になりたかったな。
私が、そう諦めかけたその時だった。
「大丈夫か!?」
後ろから、力強い腕に体を引き寄せられたのは……。
「今、助けるからな。俺に任せてくれ」
「え……?」
「体、預けて」
……その声が、あまりに優しいものだったから、私は何の抵抗もなく、その声の主に体を委ねた。
彼は私を抱えたまま、岸に泳いでいく。やがて地上に辿り着くと、彼は私を岸に座らせる。
「怖かったよな。もう、大丈夫だからな」
水が滴る黒髪と、優しげに細くなった空色の瞳。彼のその穏やかな微笑みを見た瞬間。
「っ……うっ…………」
涙が、止まらなくなってしまった。
「えっ……えっ!?ど、どうしたんだ!?どこか怪我してるのか……?」
「……違う、違うんです。ただ…………こんな風に笑ってもらえたの、久しぶりで……」
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