14 大事な初恋の人へ[side 燕]

4/10
前へ
/113ページ
次へ
 私は、泣きじゃくりながら、彼に自分のことを話してしまった。  クラスの人に距離を置かれていること。誰かと仲良くなりたかったこと。そのために、後先考えずに川に飛び込んでしまったこと。  こんなこと、初対面の人に話すことじゃないのに。  彼を困らせちゃったかもしれない……そう心配になって、恐る恐る彼の顔を見ると、彼は真剣な顔をして聞いていてくれたんだ。 「……きっとさ、みんな、君のことをよく知らないから戸惑ってるだけだと思う」 「え……?私のことを、知らないから?」 「うん。君も、知らない人のことを警戒しちゃうことってあるだろ?だからさ、みんなから話しかけられるのを待つだけじゃなくて、君からみんなに歩み寄ってみればいいと思う!」 「歩み寄る……」 「うん!君ならできるよ。俺、応援してるから!」  彼はそう言って、太陽みたいにキラキラした笑顔を見せてくれた。見てると、不思議と勇気が湧いてくる笑顔。この笑顔を見た瞬間。  トクンと、心臓が音を立てた。
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加