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私がほうけていると、彼は不思議そうな顔をする。
「ん?どうかした?」
「あっ……な、なんでもないです!えっと……助けてくれて、ありがとうございます!」
「ああ、大丈夫!君が無事でよかった」
彼はそう笑うと立ち上がって、大きく伸びをする。それを見た時、気づいたんだ。
このジャージ、天学の高等部だ。じゃあ、この人先輩なんだ。
……高等部に行けば、また会えるかな。
「あ、そういえばさ、君、名前なんて言うの?そのジャージ、中等部だよね?」
「あっ、はい!風見 燕です。天学中等部の1年生です」
「そっか。俺、宵月 聖夜!高等部1年なんだ。高等部に用があったら、力になれるかもしれないから、遠慮なく声掛けてくれよ」
聖夜さんの優しい言葉。また会ってくれるんだって思ったら、本当は嬉しかったけど……そんなことしたら迷惑なんじゃないかって、少し不安になってしまう。
「あ、ありがとうございます……で、でも、申し訳ない、です」
すると、聖夜さんは明るく笑って言ったんだ。
「気にしなくていいよ。俺、君の友達第1号だからさ!」
「っ…………!」
友達…………。
この時は、そう言ってくれたのが純粋に嬉しかった。本当に、本当に、嬉しかった…………。
…………でも。
時間が経つにつれて、それだけじゃなくなっていく。
友達よりも、親しい関係になりたいって、思うようになってしまったんだ。
この気持ちは、恋なんだって……気づいてしまったんだ…………。
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