14 大事な初恋の人へ[side 燕]

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 部屋のドアを開けると、春花さんが優しい笑顔でクッキーの缶を持って立っていた。 「良いお菓子貰っちゃった。ねぇ、一緒に食べない?」 「あ……いいんですか?」 「うん!お兄ちゃんには内緒ね」  悪戯っぽく笑う春花さんに連れられて、私は談話スペースに向かった。今日は休日だけど、寮の人はみんな部活でいないみたい。特に天学高等部は部活動に力を入れてるから、休みの日でも結構長い時間練習してたりするんだよね。 「お茶淹れてくるから、座っててね」  春花さんはそう言ってキッチンの方に向かう。その背中を見送って、私は先程まで書こうとしていた手紙のことを考えた。  何て書けばいいんだろう。どうやったら、気持ちが伝わるんだろう。ラブレターなんて、今まで書いたことないから分からないよ……。 「燕ちゃん、お待たせ」  春花さんがコップを両手に持って戻ってきた。何を淹れてくれたのか気になって、コップの中を覗いてみると……。 「今日の紅茶、何だか黄色いですね」 「ふふっ、今日は紅茶じゃなくてハーブティー。カモミールだよ 」 「カモミール?」 「そう!リラックス効果があるだ。燕ちゃん、ちょっと泣いてたみたいだから、気持ちを落ち着けて欲しくて」 「えっ…………き、気づいてたんですか!?声、聞こえてたとか?」  部屋の外まで泣き声が聞こえてたなんて……どうしよう、恥ずかしい…………。
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