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7時半から始まった朝練は、準備体操とランニングを終えて、いよいよ紅白戦だ。普段の朝練なら、基礎練習がメインなんだけど……7月の下旬にインターハイを控えている関係で、実践練習が多くなってるんだよな。
「宵月!任せた!」
「はい!」
先輩からパスを貰い、俺は素早いドリブルでボールを運んでいく。俺はまだ1年生だけど、足の速さには自信があるんだ。
他の選手を引き離して、ゴール前に近づいた時、敵チームのディフェンダーが、俺の前に立ちはだかった。
「行かせるかっ!」
「っ……!」
俺が味方にパスを出そうと辺りを見回す間に、ディフェンダーがボールを奪ってクリアする。ボールはグラウンドの外に飛んでいき、コロコロと転がっていった。
「あっ、ボール取ってきます!」
「おー。宵月、頼むわ」
1年生だってことで、俺は率先してボールを拾いに行く。通り道の真ん中に転がっているボールを見つけ、それに駆け寄っていたその時だった。
周りと違う制服を着た女子生徒が、ボールを拾って俺を見たんだ。
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