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「ふふっ、声は聞こえてないよ。涙の跡があったから」
「あ……そっちかぁ」
私が安心して溜息をつくと、春花さんがクスリと笑った。
「うん。…………燕ちゃん、何か悩みがあるなら、私が聞くよ」
「あ…………」
少し、自分の気持ちを話すべきか迷ったけど……春花さんの、穏やかで優しい顔を見ているうちに、少し頼りたくなってしまって、私は胸の内を打ち明けた。
「好きな人に、好きな人が居たんです。でも、諦めるのが辛くて……せめて、想いを伝えようと思って、手紙を書こうとしてたんです。でも、どう書いたらいいか分からなくて…………」
「そう…………。うん、そっか」
春花さんは少し考え込んで、やがて微笑む。
「素直な気持ちを書けばいいんだよ。相手に、1番伝えたい気持ちは何?」
「1番、伝えたい気持ち…………」
……そっか。難しく考える必要なんてないんだ。
ただ、好きだって伝えられたら……それでいいんだ。
「……春花さん、ありがとうございます!私…………頑張ります」
「ふふっ、頑張ってね。私、応援してるから」
春花さんはそう言って優しく笑う。
いつも、私のことを応援してくれる春花さん。その存在に、いつも助けられてて……。それに気づいて、ふと思ったんだ。
「私も……春花さんに好きな人ができたら、応援します!」
スっと出た、素直な言葉。春花さんもきっと、いつもみたいに笑ってくれると思ってた。でも……違ったんだ。
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