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15 兄として[side 翔太]
翌日、4時間目が終わった後、いつものように聖夜達と共に昼休みを過ごしていた時だった。
「あの制服……中等部の子じゃないか?」
廊下の方から、そんな声が聞こえてきたんだ。
「美人な子だな~」
「てか、誰かに似てね?」
中等部、美人…………。まさかと思い、廊下に出てみると、案の定、妹の燕がいた。
「燕……?何してるんだ、こんな所で」
高等部に用でもあったのだろうか。用があるなら仕方ないが、正直なところ、燕を不特定多数の男子高校生の目に触れさせたくない。変な男に捕まったらどうするんだ。まぁ、その時は俺がどうにかするが。
「お、お兄ちゃん……えっと…………」
「ん?なんだ、顔が赤いが……大丈夫か?」
「う、うん!それより…………1年1組って、ここ?」
「あ、ああ、そうだが…………」
燕、一体どうしたんだ?1年1組に何の用が…………。燕の意図が分からなくて困惑していると、教室の中から聖夜と柊が出てきた。
「あれ?燕ちゃんだ!高等部に来るなんて、珍しいな」
「っ…………聖夜、さん。これっ!!」
「え?」
燕は勢いよく聖夜に何かを押し付けると、パタパタと走り去ってしまった。
「一体何だったんだ……?聖夜、お前何貰ったんだよ」
「えっと…………手紙?」
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