15 兄として[side 翔太]

1/2
前へ
/113ページ
次へ

15 兄として[side 翔太]

 翌日、4時間目が終わった後、いつものように聖夜達と共に昼休みを過ごしていた時だった。 「あの制服……中等部の子じゃないか?」  廊下の方から、そんな声が聞こえてきたんだ。 「美人な子だな~」 「てか、誰かに似てね?」  中等部、美人…………。まさかと思い、廊下に出てみると、案の定、妹の燕がいた。 「燕……?何してるんだ、こんな所で」  高等部に用でもあったのだろうか。用があるなら仕方ないが、正直なところ、燕を不特定多数の男子高校生の目に触れさせたくない。変な男に捕まったらどうするんだ。まぁ、その時は俺がどうにかするが。 「お、お兄ちゃん……えっと…………」 「ん?なんだ、顔が赤いが……大丈夫か?」 「う、うん!それより…………1年1組って、ここ?」 「あ、ああ、そうだが…………」  燕、一体どうしたんだ?1年1組に何の用が…………。燕の意図が分からなくて困惑していると、教室の中から聖夜と柊が出てきた。 「あれ?燕ちゃんだ!高等部に来るなんて、珍しいな」 「っ…………聖夜、さん。これっ!!」 「え?」  燕は勢いよく聖夜に何かを押し付けると、パタパタと走り去ってしまった。 「一体何だったんだ……?聖夜、お前何貰ったんだよ」 「えっと…………手紙?」
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加