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朝日に照らされる、優しい茶色の髪。その髪は片側にまとめられて、高い位置で結われている。そして、髪留めの黄色いリボンに負けないくらい明るい、蜂蜜色の大きな瞳…………。
彼女と目が合った瞬間……時間が、ピタリと止まった。
何故かは分からない。俺は、ただ……彼女に見とれてしまっていたんだ。
「あの……このボール、あなたが?」
「えっ!?あ、そ、そうです!!」
い、いけない。何してんだ俺。早くボール持って帰らなきゃ……。
俺は慌てて彼女に駆け寄って、ボールを受け取った。
「拾ってくれて、ありがとうございます!」
「あ……ううん、気にしないで。あなたの役に立てて良かった」
彼女はそう微笑むと、静かに校舎へ向かって歩いて行ってしまった。俺は、その背中を、ただ呆然と見送った。
……何か分かんないけど、俺、フワフワしてる。何だろう、この気持ちは…………。
「宵月ー!何してんだ、早く戻ってこーい」
「え……あっ!」
そ、そうだ!今、朝練中だった!
「すみません!すぐ戻ります!!」
先輩に呼ばれて、大慌てで練習に戻った俺だけど……その後の練習中も、彼女のことが気になり続けた。
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