2 朝の挨拶運動[side 柊]

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2 朝の挨拶運動[side 柊]

 朝練に向かった聖夜と別れて、私は生徒会室に向かっていた。挨拶運動を始める前に、腕章を取りに行かなきゃいけないからね。  校舎の3階にある生徒会室。その扉を開けると、中には既に先客がいた。 「あ、翔太君!おはよう」 「あぁ……おはよう、柊」  クラスメイトで、同じ生徒会で庶務を務める風見 翔太(かざみ しょうた)君。長い下睫毛と、赤い飾りのついたヘアゴムで纏められた綺麗な髪、そして切れ長な目が印象的な、とっても美人な男の子。彼は髪と同じ翡翠色の瞳で私を見ると、私に歩み寄って腕章を手渡してくれた。 「ありがと!」  私が笑顔でお礼を言うと、翔太君は目を逸らしてしまう。  翔太君とお話してると、たまに目を逸らされることがある。前はその度に嫌われてないか気になってたんだけど、目を逸らした後も普通に接してくれるから、今ではあまり気にしてない。なんで目を逸らすのか、不思議だなぁとは思うけどね。 「別に…………。ほ、ほら、校門前、行くぞ」 「あ、待ってよ!」  私は先に歩いて行く翔太君の後を、慌てて追いかけた。
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