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「おはようございます!」
校門前にやってきた私達は、道行く生徒に挨拶をしていく。
「おはよーございまーす」
「あっ、柊ちゃん、おはよ!」
挨拶を返してくれる人もいれば、返してくれない人もいる。でもね、それでも私、挨拶運動が好きなんだ。何でかっていうと、色んな生徒の朝の様子が見れるから。
友達とワイワイしながら歩いてる人、眠そうに欠伸をしてる人、部活の朝練があるから急いでる人…………。みんなそれぞれだけど、全員が同じ学校の仲間なんだなって思うと、なんだか嬉しいんだ。
ふふっ。今日も頑張ろ!
「おはようございます!」
その後も、やる気十分で挨拶してた私だけど、ふと、翔太君の視線に気づいた。
「ん、翔太君?どうかした?」
「っ…………。ね、寝癖!」
「え?」
「寝癖ついてる…………」
「えっ、嘘!?どこどこ?」
みんなの前で挨拶してるのに、寝癖がついてたなんて…………は、恥ずかしいよ!ちゃんと、鏡の前で髪梳かして来たのに!!一体どこに寝癖が……。
「…………ここ」
そう短く言って、翔太君が押さえたのは…………前髪の癖毛だった。
「翔太君!そこ、ただの癖毛だから!寝癖じゃないから!!」
「あ、そ、そうか……」
「そうだよ!ここ、いつも外ハネしてるもん!」
「ああ…………ごめん」
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