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翔太君は小さい声で謝ると、ふいっとそっぽを向いてしまった。
ちょっと強く言い過ぎちゃったかな?私も謝らなきゃ……そう思って口を開いた時だった。
「翔太ちゃーん!おっはよー!!」
クラスメイトの佐倉君が、翔太君に勢いよく抱きついてきたんだ。
クラスの中でも背が高い佐倉君に対して、翔太君は小柄だ。だから、佐倉君に抱きつかれると、翔太君の顔が隠れちゃって、少し苦しそう。
でも、仲良さそうで羨ましいなぁ。
「げ、佐倉…………」
「げってなんだよ!挨拶運動だろ?ほら、挨拶してくれよ~」
「…………オハヨウゴザイマス」
「うわ、雑~!柊ちゃん、これどう思う?」
「ふふっ、翔太君、やり直し!」
「っ…………おはようございます」
渋々、挨拶し直す翔太君。それを見た佐倉君が、ニヤリと笑う。
「はい、合格~!ほんと、翔太ちゃんって柊ちゃんの言う事には素直だよなぁ」
「なっ…………!そ、そんなことない!」
「まーまー、そう否定しなさんな。翔太ちゃんの気持ち、俺は分かってるからさ」
翔太君の気持ち?なんだろう。
私が首を傾げていると、佐倉君は、ニッコリ笑って翔太君をぐいっと私に押し出した。
「ほら、翔太ちゃん、今がチャーンス!」
「……っ!ふ、ふざけんな!!今は挨拶運動中だ!邪魔するなら、とっとと教室行け!!」
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