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「数学は86点、国語は88点だが」
「うっ…………!!」
「裏切り者ー!翔太君のバカぁ!!」
柊の言葉に、翔太の顔が赤くなる。
「ば、バカ!?お、お……俺はバカじゃない!!」
「いーだ!聞こえないもん!裏切り者ー!!」
「う、う、裏切り者……って、俺は勉強しただけだ!別に裏切ってなんかない!!」
「お、おい……2人とも、落ち着けよ」
俺は2人をなだめようとするけど、翔太も柊も聞く耳を持たない。
うーん……2人とも、なんだかんだ言って仲良いよなぁ。同じクラスで、同じ委員会だからかな?俺にも、同じ部活に仲のいい同級生はいるけど、こうやって言い合える仲じゃない。……2人の関係、ちょっと羨ましいな。
そう思い、騒いでる2人に温かい目を向けながら弁当を食べ終えて……俺は窓の外に視線を移した。青い空と、今朝使ったグラウンド。それから…………その脇で1人、ベンチに座ってパンを食べてる、緑色の制服を着た女の子。
「あの子、今朝の……」
辺りを見渡してみたけど、誰かが来る様子もない。ほんとに、1人きりで食べてるみたいだ。
今日はいい天気だけど、日差しも強いし、外はかなりの気温だ。そんな中で1人って……少し心配だな。
…………よし。
「2人とも、ごめん!俺、ちょっと行ってくる!」
「え?行くって……どこに?」
「グラウンド!」
俺は食べ終わった弁当を片付けて、グラウンドに向かって駆けて行った。
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