3 俺と彼女の始まりの日[side 聖夜]

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 梅雨明けの眩しい日差しと、ムシっとした日本の夏らしい空気。少しだけど、蝉の声も聞こえ始めてる。今年も、まだまだ暑くなりそうだな。  しばらくすると、数人のサッカー部員がやってきて、グラウンドでパス練習を始めた。きっと自主練だ。もうすぐインターハイだし。  うちの学校は部活動に力を入れてて、サッカー部だけじゃなく、バレー部や陸上部、それから、野球部なんかも強い。どの部活も練習が大変だけど……みんな充実した顔をしてるんだ。  だって、仲間と一緒に1つのことで盛り上がれるのは楽しいから。  なんか、俺もサッカーやりたくなってきたな……。 「あの、サッカー好きなんですか?」 「えっ!?な、何で?」  突然彼女から声を掛けられて、ビックリした俺は声を裏返してしまう。や、やば……驚かせちゃったかな?そう不安に思ったけど、それは杞憂だった。彼女は驚いた様子もなく、微笑みながら俺を見ていたんだ。 「今朝、楽しそうにサッカーしてたから」 「あ、ああ…………朝練、見てたんだ。あっ、今朝はボール拾ってくれて、ありがとうございました!」
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