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「旭、おつかれ!」
「あ……聖夜、おつかれさま。ドリブル、速かったね」
私がそう言うと、彼は照れ笑いを浮かべる。
「足の速さにだけは自信があるからさ。ほんとは、パスとかシュートとか、もっとできたらいいんだけど」
「ふふっ。聖夜なら、きっとできるよ」
私がそう言うと、聖夜は嬉しそうに笑って、頷いてくれた。ニッとした、明るい笑顔。私、初めてこの笑顔を見た時に、思ったんだ。
あなたが居れば、私はきっと変われるって…………。
「集合ー!」
キャプテンの号令がかかって、選手達が監督の元へ駆けていく。聖夜も、私に笑顔を残してみんなの所へ走っていった。
その背中は、1年生だけど、大きくて頼もしい。
……もう、あの頃のあなたとは違うんだね。
その背中に微笑みながら……私も、彼の後に続いて、みんなの元へ駆けていった。
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