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「っ……え、えっとっ……」
女の子に事情を説明しようとするけど、そうすればそうするほど、父さんが遠くに行っちゃうんだってことを実感して、悲しくて……涙が溢れて止まらなくなる。
だ、だめだ。泣いてたら何も伝わらないし、かっこ悪いよ…………。
なんとかして涙を止めようと、俺は必死に涙を拭う。止まれ、止まれ……早く、止まれ……。
「っ……うぅっ…………」
だめだ。止まらない。止まらないよ……。
泣きやめない自分が情けなくて、余計に泣きたくなってしまう。女の子も、きっと呆れてしまっているだろうなって思ってた。
……でも、違ったんだ。
「……よしよし」
女の子は、俺の頭を優しく撫でて、穏やかに微笑んでいたんだ。
「痛いの痛いの、飛んでいけ~!……どう?痛くなくなった?」
そう言って、明るく笑う女の子を見て……その優しさが温かくて、俺の心はスッと落ち着いていく。
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