5 気になる兄の好きな人[side 柊]

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「あの……」  私が花琳さんの行動に驚いていると、今度は制服姿の男子生徒が私に声を掛けてきた。  冬の雪景色を思わせるような綺麗な銀髪と、整った顔立ち。そして、柔らかな雰囲気……。まるで、王子様みたい。 「音楽部です。部費の書類を提出しに来ました」 「あっ、は、はい!預かります!」  私が書類を受け取ると……彼は不思議そうにキョロキョロする。 「どうかしたんですか……?」 「いや……さっき、バドミントン部の子が居なかったかなって」  バドミントン部の……きっと、花琳さんのことだよね……。ど、どうしよう。教えるべきかな?  私が迷っていると、部屋の中から翔太君が出てきて、代わりに答えてくれた。 「さっきの先輩なら、もう戻りましたよ」 「そう。教えてくれてありがとう」  音楽部の彼は、そう言って柔和に微笑むと、生徒会室から立ち去っていった。すると、廊下が再び騒がしくなる。  さっきの人……一体何者? 「音楽部の人、帰りましたよ」  翔太君が花琳さんに声を掛けると、花琳さんは深くため息をついた。その顔は、ほんのり赤い。 「ありがとう……ごめんね、急に隠れちゃって」 「いえ、別に。……さっきの人、苦手なんですか?」  翔太君が尋ねると……花琳さんは慌てて首を横に振る。 「ち、違うの!苦手なんかじゃなくて……その…………」
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