5 気になる兄の好きな人[side 柊]

6/13

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/113ページ
 口ごもる花琳さんの様子を見て……私は察してしまった。  花琳さん……さっきの人のことが好きなんだ!!わぁ、青春だー!!  私は咄嗟に花琳さんの手を握って、 「私、応援してます!!」  と、明るく告げた。 「っ…………あ、ありがとう。えっと……」 「あ、私、生徒会1年の、宵月 柊です!」 「柊ちゃん……うん、よろしくね」  花琳さんは優しく微笑んで、翔太君の方にも目をやった。 「あなたも、さっきはありがとう」 「いえ……。あ、同じく生徒会1年の風見です。風見 翔太っていいます」 「うん。翔太君も、よろしくね。……さて、そろそろ部活に戻らなきゃ」  花琳さんの言葉を聞いて、私は彼女から手を離す。 「それじゃあ、またね」 「あ、はい!」  花琳さんが部活に戻るのを、私は笑顔で見送った。  花琳さん、可愛かったなぁ。いつか、さっきの人との恋のお話、聞かせて欲しいなぁ…………。  ………………。  ん?恋の、話…………?  その時、私の脳裏に、昨晩の聖夜のことが蘇った。 「あ、あーーーー!!」 「な、なんだ急に」 「翔太君!せ、せ、聖夜に、好きな人がっ!!」  私が勢いよく翔太君に詰め寄ると、翔太君は少し後ずさって目を逸らす。 「ち、近…………」  翔太君は戸惑っていたけど……もう、それどころじゃなかった。 「聖夜の好きな人、突き止めなきゃ!!」
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加