5 気になる兄の好きな人[side 柊]

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 聖夜は大きな声で返事をして、再びボールに向かって走り出す。  聖夜は素直に返事をしてたけど……私には監督の言葉が不思議だった。 「監督、なんであんなこと言ったんだろ。聖夜はドリブルが上手いんだから、そのまま攻め上がっちゃっても良くない?」  それを聞いた翔太君は、試合を見ながら首を横に振る。 「ダメだろ。1人で攻め込んだら、マークが集中して動きにくくなるし、キーパーの視線も惑わせられないから、シュートだって決まりにくい。……サッカーは1人でやる競技じゃないんだぞ」 「うーん……そっかぁ」  よく分からないけど……たしかに、1人でボール運んでたら、他の人達はやること無くて退屈しちゃうかもしれないもんね。きっと、チームスポーツってそういうものなんだ。うん。 「スポーツって難しいね」 「あぁ、そうかもな。…………って、お前は何をしにここに来たんだよ」 「え?」 「試合、見に来たんじゃないだろ。ほら、聖夜の好きなヤツ、突き止めたいって言ってたじゃないか」 「あっ!そ、そうだった!!」  試合に夢中で、すっかり頭から抜けてた…………。もう、しっかりして、私!!
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