6 涙味の紅茶[side 翔太]

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6 涙味の紅茶[side 翔太]

 柊と別れて、俺は下宿先の寮に帰ってきた。玄関のドアを開けると、1番最初に目に入るのは四角いダイニングテーブルが置かれた談話スペース。そこには、寮の管理人である春花(はるか)さんと、俺の妹の(つばめ)がいた。  春花さんは、俺に気づくなり桜色の瞳を細くして微笑む。 「翔太君、おかえりなさい。燕ちゃんとお茶してたんだけど、翔太君もどう?」 「あ、じゃあ……いただきます」  俺は荷物を部屋の隅に置いて、併設されている共同キッチンに向かった。そして流しで手洗いうがいを済ませて燕の隣に座る。 「アールグレイとダージリン、どっちがいい?」 「えっと、アールグレイで。……って、俺、自分で淹れてきますよ」 「いいのいいの。学校帰りで疲れてるでしょ?座ってて!」  春花さんはそう笑って席を立つ。彼女は、ポッドの所に歩いていきながら、桃色がかった長い髪をヘアゴムで束ねた。 「お兄ちゃん、聞いて!今日、部活でね、次の試合のスタメンに選ばれたんだ」  隣から、燕が笑顔で声を掛けてくる。その嬉しそうな様子を見て、思わず笑みが零れた。 「そっか。頑張ったな、燕」
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