6 涙味の紅茶[side 翔太]

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 俺が頭を撫でると……燕は少し頬をふくらませる。 「もう、子ども扱いしないでよ。私、もう中一だよ?」 d731d01e-47c2-4a70-83d6-fcda4b744735 「あぁ……そうだったな。ごめん」  謝りつつも、そんな燕の様子も可愛くて、俺は笑顔を隠しきれない。 「お兄ちゃん、反省してないでしょ」 「いや……そんなことない。反省してる」 「ほんとかなぁ……」  そう言って、じとっとした目で俺を見つめてくる燕。…………ごめん、悪いけど可愛い。  でも、仕方ないんだ。俺にとって燕は、いつまでも可愛くて幼い妹だから。どんなに燕が大きくなっても……昔の燕が脳裏を過ぎって、つい、さっきみたいに甘やかそうとしてしまう。更に、今は親元を離れて2人で暮らしているのもあって、俺が燕を守らなければ……と思ってるから、余計に可愛がりたくなってしまうんだ。 「全く…………お兄ちゃんは甘えん坊だなぁ」 「なっ…………そ、そんなことない!」 「そう?いつも私にベッタリだし……あ、お兄ちゃん、お父さんとお母さんと離れてるから寂しいんでしょ」 「ち、違う!俺は別に、寂しいなんて……」  どうにかして反論しようとした俺だったが……燕のニヤけ顔に気づいて、ハッとする。
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