6 涙味の紅茶[side 翔太]

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「か、揶揄ったな……!」 「ふふっ、さっきの仕返し!お兄ちゃん、可愛い~」 「っ…………、可愛いのは、俺じゃなくて──」  …………いや待て、流石にこれは気持ち悪がられるか?お前の方が可愛い……なんて、兄に言われたら年頃の妹は引くんじゃないか……?そう思った俺は、言いかけた言葉を飲み込んだ。 「…………なんでもない」 「ふふっ、急にスンとしちゃって、どうしたの?変なお兄ちゃん」  そう言って、燕は可笑しそうに笑う。  ……その笑顔を見て、ふと思ったんだ。  もし、燕に好きな人ができたら……俺は、耐えられるのかって。  柊に諭したものの、もし俺が同じ立場に立たされたら…………と思うと、正直落ち着かない。きっと、柊のように相手のことを詮索したり、口出したくなってしまうと思う。……というか、正気を保てる自信がない。多分泣く。  とはいえ……燕ももう中一だ。好きな人の1人や2人…………いても、おかしくない、よな…………。  っ……想像しただけで、切なくなってくる…………。我ながら、ヤバい兄だな、俺。  そんなことを考えていたら、深刻な顔になっていたようで……。 「お兄ちゃん、大丈夫?何か悩み事?」  燕が心配そうに俺を覗き込んできた。
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