6 涙味の紅茶[side 翔太]

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「あ、ああ…………。大丈夫、だ。うん、今は大丈夫……」 「今は……?どういうこと?」 「っ…………気にするな。すぐ収まるから」 「そう……?」 「ああ。……そ、それより、次の試合って、いつなんだ?」  俺は燕の気を逸らしたくて、先程の部活の試合に話に戻す。 「8月6日!試合といっても、練習試合だから、大したものじゃないんだけどね」 「そうか……。応援、行くから」 「ふふっ、うん!いい所見せられるように、頑張るね」  燕はそう言って明るい笑顔を見せてくれた。そのあどけない笑顔を見て、俺の心も落ち着いていく。  ま、まだ大丈夫だ。きっと、燕はまだ恋なんてしてない。  そう、思っていたけれど…………。次の瞬間、そんな期待は砕け散る。 「そ、そういえばさ、高校総体のインターハイって、もうすぐだよね。サッカーの……」 「ああ……それがどうかしたのか?」 「あっ……え、えっとね、特に深い意味は無いんだけど!!ほら、天学のサッカー部って強いし、応援したいなって思って…………だ、誰か特別会いたい人がいる訳じゃないんだけどね!」  そう言って、アワアワと顔を赤らめる燕…………。  っ………………嘘、だろ?その反応、ま、まさか………………燕に、好きな人、が…………?  ど、どこのどいつだ!!俺の妹をたぶらかしてるヤツは…………!!
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