6 涙味の紅茶[side 翔太]

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 っ…………待て、落ち着くんだ、俺。状況を整理しろ。  まず、天学サッカー部は確かにレベルが高い。それもあって、学内外にファンだっている。地域の人、他校の生徒……それから、中等部の生徒。  だから、燕が誰かのファンでもおかしくはないんだ。だが……さっきの反応、明らかにファンの感情とは違う。好きなアイドルを応援してる時の燕じゃない。  さっきの表情は……明らかに、恋してる顔だ……っ!  っ……泣きたくなってきた…………。 「…………兄ちゃん、そう簡単に認めないからな……」 「お、お兄ちゃん、何の話してるの?」 「燕を守れるような人じゃなきゃ……俺は許さないからな」 「えっ……!も、もう、お兄ちゃんってば!!そんなんじゃないよ!!そんなんじゃないってば!!」  燕は、顔を赤くして俺の言葉を否定する。俺はというと、先程自分が柊に言ったことをすっかり忘れて、妹の好きな人のことで頭がいっぱいになっていた。  …………ついに、燕が誰かの嫁に……。ああ、ヤバい。涙が出そうだ…………。 「翔太君、お待たせ。…………って、2人とも怖い顔してどうしたの?喧嘩しちゃった?」 「あっ、そ、そんなことないです!お兄ちゃん、いい加減機嫌直してよ!お兄ちゃんが思ってることなんて、何も無いんだから!」 「…………うん」  俺は切ない気持ちをグッと堪えながら、紅茶を一口飲んだ。  淹れたての紅茶は熱くて、堪えた涙はしょっぱくて……正直、味がよく分からなかった。
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