7 銀色の旋律[side 花琳]

2/9
前へ
/113ページ
次へ
「新人戦、キャプテンとして期待してるね!」 「ふふっ。チームのために、頑張るわね」  私が腕に力こぶを作って笑うと、茉葉ちゃんもカラリと笑ってくれた。  そうやって、茉葉ちゃんと笑いあっている時だった。外から、ピアノの音が聞こえてきたのは。 「ん?なんの曲だろ?聞いたことないなー。花琳ちゃん、知ってる?」  そう私に尋ねる茉葉ちゃんだったけど……私は、音楽に心を奪われて、それどころじゃなかった。  いや、音楽だけじゃない。これを弾いている彼自身にも……って言った方が正しい。  この、澄んだ高音が連続するのが特徴的な曲は、世界に一つしかない彼だけの曲……。彼の音楽も、彼の作り出す世界も、彼自身も…………私は、ずっとずっと──。 「ねぇ、花琳ちゃん!」 「ふ、ふぇっ!?」 「大丈夫?熱中症??」 「あっ、だ、大丈夫よ!!ちょっとピアノに夢中になってただけ!」  私が慌てて弁解すると、茉葉ちゃんは不思議そうな顔をしていたけど……すぐにニヤリと笑う。
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加