7 銀色の旋律[side 花琳]

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* * * 「ありがとうございましたー!」  練習が終わって、片付けを終えた私達は体育館に向かって挨拶をして、廊下に出る。  窓が開けられた廊下は、風通しが良くて涼しかった。 「いやー、体育館暑すぎっ!今日も私ら頑張ったわぁ」  茉葉ちゃんが私の隣で伸びながら笑う。 「ふふっ、たしかにね」 「ねー。帰り、アイス買って帰らない?」 「あ、いいわね。コンビニ寄って帰りましょ」  私と茉葉ちゃんが談笑しながら歩いている時だった。再び、あの曲が聞こえてきたのは。 「あ……」  私が思わず立ち止まると、茉葉ちゃんが背中をバシッと叩いてきた。 「ふぁっ!?」 「予定変更!花琳ちゃん音楽室行こ!!」 「え…………。えっ!?」 「今行けば彼に会えるかもよ?」  そう言いながら、屈託のない表情で笑う茉葉ちゃん……。 「で、でも!会って何を話せばいいのか……」 「何でもいーの!自分のことを話すのも良し!相手の話を聞くのも良し!!」  そ、そんなに簡単に言ってくれちゃって……!それができたら苦労しないんだからっ! 「む、無理よ!自信ない……」 「もー、花琳ちゃんなら大丈夫だって!ほら行くよ!!」 「ひぇぇ…………」  私は茉葉ちゃんに引き摺られるようにして、音楽室に向かった……。
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