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気づいたら、私は熱心にピアノに耳を傾けていた。流れるような低音と、キラキラ輝く雪のような高音。目に浮かぶのは、幻想的な銀色の世界──。
私は、彼がピアノを弾き終えるまで、その世界に入り込んでいた……。
………………。
やがて、最後の一音が鳴りやみ、彼がピアノに向かって柔らかく微笑む。その微笑みすら、まるで物語の中の王子様のようで……私は見とれてしまっていた。
……でも、次の瞬間、その微笑みが私に向けられたんだ。
「花琳。そんな所にいないで、こっちにおいで」
「っ~~~~!?」
驚きの余り、私は勢いよく扉を閉めてしまう。
い、いつから気づかれてたの!?もしかして、最初から……!?
は、恥ずかしすぎる~!!
し、しかも、あの笑顔…………美しすぎるよ~!!もう、心臓が飛び出しそう…………!
私が扉の前で胸を押さえてしゃがみ込んでいると、彼が扉を開けて私に合わせて姿勢を低くしてきたんだ。
「花琳、大丈夫?」
「ふわっ!?あわわわ……え、えっと……えっと!」
「落ち着いて。ほら、深呼吸、深呼吸」
「うっ、うん!すぅ~~~~…………」
……って、何してるの私!!
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