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* * *
帰り支度を済ませた俺が部室を出ると、旭が待っていてくれた。
「聖夜、おつかれさま」
そう、俺に微笑んでくれる旭。その表情は普段通りで、俺が今まで失礼だったことに対する怒りは、感じられなかった。
…………でも、旭は俺の先輩だったんだよな。流石に、呼び捨てにタメ口じゃ、ダメだよな…………。
「あ、ああ、うん…………おつかれさまです!旭……先輩!!」
俺は大きな声でそう言って、思いっきり頭を下げる。
「ほ、ほんとに、ごめんなさい!俺、今まで同学年だと思ってて…………!こ、これからはちゃんと敬語使います!!」
俺は勢いよく謝って、恐る恐る彼女の顔を見上げる。すると、彼女は……穏やかに微笑んで首を横に振っていた。
「いいよ。私に敬語なんて、必要ないから」
「えっ……。で、でも…………!」
「いいの。私、聖夜とは対等な関係でいたいんだ。今までみたいに、仲良しでいたいから」
「っ…………」
そう言う彼女の微笑みに、俺は目を奪われてしまう。出会った時と同じように、彼女から目が離せなくなる…………。
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