8 夕日と海と、知らない気持ち[side 聖夜]

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* * *  帰り道、長い信号で立ち止まっていると、旭が嬉しそうに鞄を見せてくれた。そこに付いていたのは……魔法使いのキャラクターのストラップだった。 「これね、クラスの子と一緒にガチャガチャ回して当てたんだ。私の好きな、魔法少女のストラップ」  旭はそう言って嬉しそうに笑う。好きなキャラが当たったっていうのもあるのかもしれないけど……きっと、旭が嬉しそうな理由は、それだけじゃない。 「そっか……クラスの子と話せたんだな」 「うん。部活始めてからね、三上さんと仲良くなれて、その周りにいた子も話しかけてくれるようになって……クラスにも馴染めてきたんだ」  旭はそう言って、俺に微笑む。 「聖夜が、私を誘ってくれたお陰だよ。本当にありがとう」 「あっ…………」  俺のお陰……そう言って微笑む旭を見て、胸がギュッとする。く、苦しい。ドキドキ、する……。どうしよう。どうしちゃったんだよ、俺…………。 2d75f2bd-d8ef-4804-8765-22487d76cac4
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