8 夕日と海と、知らない気持ち[side 聖夜]

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* * *  並んで歩いて、海辺の道に差し掛かった時だった。 「ねぇ、少し寄り道してもいい?」  旭が、珍しくそう提案してきたんだ。 「え?……別にいい、けど」 「ありがとう。少し、海……付き合って」  旭は、そう言って俺の手を引き……海に続く階段を駆け下りていく。 「…………やっぱり、夕日も海も、すごく綺麗」  旭はそう言って、夕焼けに照らされた海を見つめた。 「こう景色見てると、自分が抱えてるものが小さく感じるよね。私、その感覚が好きなんだ」  旭はそう笑って、海の方に歩いていく。俺も、手を引かれるがままに海に近づく。 「…………世界が全部、こんな風に綺麗だったらいいのに」 「え……?」 「ううん……なんでもない」  旭は首を横に振って、俺に微笑む。 「付き合わせてごめんね。どうしても、聖夜と……ここの夕日、見たかったんだ」  そう言う旭の笑顔が、あまりにも綺麗だったから……俺は、気づけなかった。  旭が、苦しんでいるってことに。 「……さて、そろそろ行こっか」 「あ、ああ……」  俺は旭に連れられて、再び通学路を歩き始めた…………。
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