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……茜は、私の妹。妹、だけど……お母さんが違う。お父さんと、新しいお母さん……知江さんの、娘。お父さんと知江さんの、大事な娘…………。
2階に上がって、廊下を歩いていると、弟……ホープとすれ違った。彼の月のように綺麗な銀髪と、黄色い瞳が、蛍光灯に照らされてキラリと光る。
「あ、旭……。おかえり。遅かったね」
「うん。部活だったんだ」
「そっか。帰り道、平気だった?」
「うん。……仲良い人に、送ってきて貰ったから」
私がそう言うと、ホープは少し表情を曇らせる。
「仲良い人って……この前言ってた聖夜さんのこと?」
「うん……そうだけど」
「……そっか」
そう言うと、ホープは頬を膨らませて、プイッとそっぽを向く。
「ホープ……?」
「なんでもない。先、下りてるから」
そう言って、パタパタと階段を降りていくホープ……。
彼は、お父さんが施設から預かってきた男の子。彼の出自は分からないけど……頭が良くて、お父さんが期待を寄せてるのは一目瞭然だった。お父さんの希望を背負った……大事な息子…………。
私は胸が苦しいのを誤魔化すために、少し息を吐いて、自室に向かう。
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