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* * *
家族で食卓についてからのことは、あまり思い出せない。気づいたら、ベッドの上で目を覚ましていた。
スマホを確認すると、時刻は朝8時。少し寝坊しちゃった……。
とりあえず、パジャマからお気に入りのシャツワンピースに着替えて、洗面所に向かう。顔を洗って、髪を整えて、リビングに向かうと……お父さんが本を読んでいた。
「お父さん、おはよう」
「ああ、旭……おはよう」
私が声を掛けると、お父さんは本を閉じて私に微笑む。昔から変わらない、優しい笑顔。その顔を見て少しだけ安心する私だったけど……すぐに、茜やホープの事を思い出して、胸が塞いでしまう。
お父さんは……私のこと、どう思ってるんだろう。そう何度も気になったけど、いつも勇気が出なくて聞けないままだった。
お父さんに対する、自信のなさ。そして、嫌われていて欲しくないという不安な気持ち。それがいつだって私が前向きになる邪魔をする。
「旭、そういえば昨日、母さんから聞いたんだが……泣いていたのか?」
「っ……え……?」
「母さん、心配してたぞ。何かあったなら教えてくれ。父さんも心配だから……」
「あっ…………」
お父さんの言葉に、心臓を握られているような気持ちになる。
もし……もし、家族を疑ってるんだって知られたら、家族といるのを苦しく思ってるんだって知られたら…………。
お父さんは、きっと私を嫌いになる。
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