9 隠し事[side 旭]

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「……ううん。泣いてないよ。平気」 「そうか……?無理、してないか?」 「うん。大丈夫」  私はこの苦しみを悟られないように、お父さんに背を向ける。 「私……ちょっと出かけてくるね」 「出かけてくるって……どこに行くんだ?」 「友達のところ」  お父さんの質問に、私は咄嗟に嘘をついてしまった。  ……でも、嘘をついてでも、ここから離れなきゃって思ってしまったんだ。 「じゃあ、行ってくる」 「旭……!」  お父さんが私を呼ぶ声を無視して、私は家を飛び出した。
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