9 隠し事[side 旭]

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 私は、私自身が好きになれないから。嫌いな人が優しくされて面白くないように、嫌いな自分が優しくされるのが……正しいとは思えなくて。  いつも、優しくされる度に嬉しくなって、喜んで……でも、家に帰ると家族を信頼できない自分がいて、その自分を見る度に、現実を突きつけられて、苦しくて…………。 「私は…………聖夜に優しくされていいほど、綺麗な人じゃない、から」 「っ…………」  私が絞り出すように吐いた言葉を、柊さんは首を振って否定する。 「…………そんなこと言わないで。聖夜は……そんな風に思わないから。旭さんが何を抱えていても……聖夜なら、全部受けいれて笑ってくれるよ」  柊さんはそう言うと、小さく微笑んだ。穏やかなのに……少し寂しそうな笑顔で。 「だから……聖夜のこと、信じてあげて。聖夜さ、あなたの笑顔が見たいだけだと思うの。その優しさ、受け入れてあげて」 「柊さん…………」 「聖夜があなたを大事にしてるように、あなたも聖夜が大事なんだよね?だから……聖夜のこと、あんなに笑顔にさせてあげられるんだよね……」  そう静かに喋ると、柊さんは私を真っ直ぐに見つめて、尋ねた。 「……1つだけ教えて。あなたにとって、聖夜は、何?」
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