9 隠し事[side 旭]

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「っ…………」  私にとって、聖夜は…………いつも優しさをくれる人。明るい笑顔をくれる人…………。  思い返せば、いつだってそうだった。初めて会った時から……聖夜の笑顔に、私は勇気を貰っていた。  聖夜の笑顔を見ていると……私にも、人のために生きることが出来るんじゃないかって思えたから。  私にも、愛されていい理由があるんじゃないかって、思えたから…………。 「……聖夜は、私の勇気。私に笑顔をくれる…………大事な、人」 「……そっか」  柊さんは小さく頷いて……ニコっと笑ってくれた。その明るい笑顔が、聖夜と重なる。 「分かった。聖夜のこと、よろしくね!」 「えっ…………?」 「あ、旭さんも、もっと自分に自信持ってね。あなた、きっと優しくていい人だから!」 「っ…………!」  優しくて、いい人…………?私が?  今まで、そう言われたことが無かったから……私は、なんて言えばいいか、分からなくなってしまう。戸惑いの中に、嬉しさが込み上げてきて……でも、思い上がるなっていう自信のない感情も湧いていて…………混乱してしまっている。 「柊ー!旭ー!飲み物買いにコンビニ行こー!!」 「あ、はーい。旭さん、行こ!」 「あ……うっ、うん…………」  色んな気持ちが渦巻いて、どうしたらいいか分からない私だったけど…………。  ほんの少しだけ、踏み出す1歩が軽くなった気がした。
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