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コンビニに行く聖夜達について行った私だったけど、自分が財布を持っていないことに気づいて、何も買わずに外で待ってた。
お財布どころか、スマホも持たずに家を出てきてしまった私。あの時、余程家から離れたかったんだなって分かって思わず苦笑いしてしまう。
柊さんは私のことをいい人だって言ってくれたし、それを聞いて嬉しかった私もいた。でも……家族のことを信じられない私や、誰のために生きているのか分からない私も、確かに存在していて……。
……やっぱり、私は、いい人なんかじゃないんだって、思ってしまう。聖夜に優しくされる価値があるような人じゃないんだ、とも感じてしまう。
っ……やっぱり、ダメだな、私。どうしても……好きになれない。家族のこともそうだけど、何より、自分のことが好きになれない…………。
「はぁ…………」
ため息と一緒に、苦しさを吐き出していた、その時だった。頬に、ひんやりとした感触を感じたのは。
「ひゃっ!?」
私が驚いていると、後ろから聖夜がチューブのアイスを持ってニコニコしてたんだ。
「旭、これ!」
聖夜はそう言うと、アイスを半分に分けて私に差し出す。
「え……?」
「財布、忘れたんだろ?だからお裾分け!」
「あ…………ありがとう」
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