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私は、アイスを受け取って、食べ口を開けると、1口吸った。マスカットの爽やかな味が口いっぱいに広がる。
……でも、その味はすぐに塩の味になった。
「っ…………あ、あれ?」
気がついたら、頬を涙が伝っていたんだ。
「あ、旭……!?どうしたんだ?苦手な味だったとか……?」
「あ、う、ううん……違う。違うの……。ごめん。すぐ、泣き止む、から…………」
私は必死に涙を拭うけど、なかなか止まってくれない。
なんで……なんで私、泣いてるの?
「っ…………う、うう……」
ダメだよ。泣いてちゃ、ダメだよ。聖夜が困っちゃうよ…………。
「旭……」
困惑した聖夜の声が聞こえる。ほら、聖夜、やっぱり困ってる。このまま、困らせ続けたら…………。
きっと、聖夜に嫌われちゃう…………。
「っ…………そ、そんなの、嫌だ……」
「え……?」
「あっ、ご、ごめん……なんでも、ない…………」
私は慌てて言葉を飲み込む。
でも、飲み込んだ言葉が胸に針を刺してくる。
もし、聖夜に嫌われちゃったら、私は…………。
不安で胸がいっぱいになって、涙が止まらない私。…………そんな私の頭を、そっと撫でる手の感触に気づいた。
「っ……えっ…………?」
目を開けると、聖夜が優しい顔をして、私の頭を撫でていたんだ…………。
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