9 隠し事[side 旭]

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 私は、アイスを受け取って、食べ口を開けると、1口吸った。マスカットの爽やかな味が口いっぱいに広がる。  ……でも、その味はすぐに塩の味になった。 「っ…………あ、あれ?」  気がついたら、頬を涙が伝っていたんだ。 「あ、旭……!?どうしたんだ?苦手な味だったとか……?」 「あ、う、ううん……違う。違うの……。ごめん。すぐ、泣き止む、から…………」  私は必死に涙を拭うけど、なかなか止まってくれない。  なんで……なんで私、泣いてるの? 「っ…………う、うう……」  ダメだよ。泣いてちゃ、ダメだよ。聖夜が困っちゃうよ…………。 「旭……」  困惑した聖夜の声が聞こえる。ほら、聖夜、やっぱり困ってる。このまま、困らせ続けたら…………。  きっと、聖夜に嫌われちゃう…………。 「っ…………そ、そんなの、嫌だ……」 「え……?」 「あっ、ご、ごめん……なんでも、ない…………」  私は慌てて言葉を飲み込む。  でも、飲み込んだ言葉が胸に針を刺してくる。  もし、聖夜に嫌われちゃったら、私は…………。  不安で胸がいっぱいになって、涙が止まらない私。…………そんな私の頭を、そっと撫でる手の感触に気づいた。 「っ……えっ…………?」  目を開けると、聖夜が優しい顔をして、私の頭を撫でていたんだ…………。
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