9 隠し事[side 旭]

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 その光景が、あの日の出来事と重なる。  泣いていた男の子に、頭を撫でてあげた小さい頃の私。  空に架かった虹を見て、目を輝かせていた男の子の、太陽みたいに明るい笑顔。  その笑顔に、私は確かに救われて。  笑顔にさせたかったはずなのに、気づいたら自然に笑顔になっていて……。  そう、あの日、あの時から、私は…………。  ずっと、あなたに会いたかった。 「っ…………聖夜」  もう一度、あなたの名前を聞きたかった。 「聖夜……聖夜…………!」  もう一度、あなたの笑顔が見たかった。 「聖夜…………」 f4dfef09-d4d5-44f4-9d17-4e7790fcc526  これは、奇跡だ。  目の前に聖夜がいるのも、聖夜が私に笑ってくれているのも、聖夜が優しくしてくれるのも…………。  たとえ、私には不相応だとしても、私じゃ釣り合わなかったとしても。私にそんな資格無かったとしても。  私は…………聖夜が、大好きだ。  この気持ちも、私にとって、奇跡だ。奇跡なんだ…………。  私にとって、数少ない大事なもの。それが…………この想い、なんだ。 「…………聖夜」  私は涙を拭って、もう一度聖夜の名前を呼んだ。 「私…………あなたが思ってるより綺麗じゃないの」
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