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その光景が、あの日の出来事と重なる。
泣いていた男の子に、頭を撫でてあげた小さい頃の私。
空に架かった虹を見て、目を輝かせていた男の子の、太陽みたいに明るい笑顔。
その笑顔に、私は確かに救われて。
笑顔にさせたかったはずなのに、気づいたら自然に笑顔になっていて……。
そう、あの日、あの時から、私は…………。
ずっと、あなたに会いたかった。
「っ…………聖夜」
もう一度、あなたの名前を聞きたかった。
「聖夜……聖夜…………!」
もう一度、あなたの笑顔が見たかった。
「聖夜…………」
これは、奇跡だ。
目の前に聖夜がいるのも、聖夜が私に笑ってくれているのも、聖夜が優しくしてくれるのも…………。
たとえ、私には不相応だとしても、私じゃ釣り合わなかったとしても。私にそんな資格無かったとしても。
私は…………聖夜が、大好きだ。
この気持ちも、私にとって、奇跡だ。奇跡なんだ…………。
私にとって、数少ない大事なもの。それが…………この想い、なんだ。
「…………聖夜」
私は涙を拭って、もう一度聖夜の名前を呼んだ。
「私…………あなたが思ってるより綺麗じゃないの」
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