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「あっ、不服そうな顔!騙されたと思って食べてみなよ!絶対美味しいから!」
「……ふふっ。仕方ありませんね。でも、お金は自分で払いますから、燕さんも好きな物食べてください」
ボクがそう笑うと、燕さんは少しむくれていたけれど、やがて笑ってくれた。
「うん。ありがとう!」
……燕さん、本当によく笑うな。ボクが笑顔にしてる……訳じゃないんだろうけど、それでも、話していて笑ってくれるのは嬉しい。ボクにも、人を笑顔にできるんだって思えるから。
でも…………。
ボクが1番笑顔にしたい人は、ボクじゃ笑顔にできないんだ。
……どうしたら、旭を笑顔にできるんだろう。ボクは、そのために天海家に来たっていうのに…………。
長年の悩みを思い出してモヤモヤとしているうちに、コンビニの前に着いた。
……そして。
その前の光景に、ボクは動けなくなってしまう…………。
「旭…………」
旭が、男子に頭を撫でられている。相手の男子は本当に優しそうな顔をしていて、旭も……涙を拭って笑っていた──。
「っ…………なん、で」
何で、あの人の前では笑えるのに、ボクの前では笑ってくれないの……?やっぱり、ボクのこと、嫌いなの…………?
胸がズキリとして、視界がぼやける。その痛みを前にして、ボクは痛感してしまった。
長年抱いていた、旭への思いは…………紛れもなく、恋だって。
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