10 この恋を捨てる前に[side ホープ]

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「燕さん…………」 「っ…………失恋しちゃった…………」  顔を手で覆って、泣き顔を隠そうとする燕さん。その手を、ボクはそっと握った。 「……まだ、その恋を捨てるのは早いです」 「え……?」  ボクは、泣いている燕さんに、精一杯微笑んだ。 「燕さん、彼に好きだって伝えましたか?」 「まだ、伝えてない…………」 「なら…………伝えましょう?伝えてから、諦めましょうよ。…………ボクも、そうするから」 「っ…………えっ……?ホープ君、も…………?」  驚いた表情になる燕さんに、ボクはただ、静かに微笑んだ。  旭は、明らかにボクに心を開いていない。寧ろ、嫌っているんだと思う。ボクだけじゃなく、家族の前でもあんな風に笑ってはくれないけれど……それでも、ボクを良く思っていないことは明白だった。  そう、分かってはいるのに…………どうしても、この気持ちを捨てられないボクは、おかしいんだと思う。  この恋を捨てるまでに、せめて足掻いてやろう。そう思ったボクだったけど…………。  この後、彼女の拒絶を目の当たりにして、突き放すことしか、できなかったんだ…………。
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