6人が本棚に入れています
本棚に追加
「燕さん…………」
「っ…………失恋しちゃった…………」
顔を手で覆って、泣き顔を隠そうとする燕さん。その手を、ボクはそっと握った。
「……まだ、その恋を捨てるのは早いです」
「え……?」
ボクは、泣いている燕さんに、精一杯微笑んだ。
「燕さん、彼に好きだって伝えましたか?」
「まだ、伝えてない…………」
「なら…………伝えましょう?伝えてから、諦めましょうよ。…………ボクも、そうするから」
「っ…………えっ……?ホープ君、も…………?」
驚いた表情になる燕さんに、ボクはただ、静かに微笑んだ。
旭は、明らかにボクに心を開いていない。寧ろ、嫌っているんだと思う。ボクだけじゃなく、家族の前でもあんな風に笑ってはくれないけれど……それでも、ボクを良く思っていないことは明白だった。
そう、分かってはいるのに…………どうしても、この気持ちを捨てられないボクは、おかしいんだと思う。
この恋を捨てるまでに、せめて足掻いてやろう。そう思ったボクだったけど…………。
この後、彼女の拒絶を目の当たりにして、突き放すことしか、できなかったんだ…………。
最初のコメントを投稿しよう!